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~損壊建物を解体撤去する前に~(前編)

【あなたの家は建築基準関係法令に適合した建物ですか】

このたびの地震により被災された皆様に、謹んで震災のお見舞いを申し上げます。
家屋・建物が損壊した方へ、解体・撤去前に、ちょっと待って!
気を付けていただきたいことがあります。
以下の点、参考になれば幸いです。

1 建物の倒壊・損壊の原因を証拠に残しておくこと

 今回の震災で倒壊した建物の多くについて既存不適格建物(注)と報道されています。

(注)既存不適格建物・・・
 昭和56年に建築基準法が改正されて耐震基準が強化されており、「既存不適格建物」とはこの改正前の建物をいいます。

 他方で、既に下記の建築雑誌のネット記事にもありますように、最近建築した建物に設計ミスや手抜き工事があり、それが原因で建物が損壊したものもあるのではないかという指摘もされています。

築浅住宅が地震で倒壊、金物不備や増築が要因か|日経アーキテクチュア
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/atcl/bldnews/15/041500569/041700019/

 欠陥のない建物が地震で倒壊したのであれば、これは完全な天災ですが、現実には、必ずしも天災とはいえない、人災の側面もあるようです。
 建築基準法に違反した建築がなされ、新築当時から万一大きな地震が来たら倒壊する危険をはらんでいて、今回の震災で顕在化したという可能性があるのです。

 ところで、阪神淡路大震災や東日本大震災のときも、倒壊した建物の解体・撤去が急ピッチで進められました。
 しかし、解体前に写真や図面などで建物の損壊状況実情を残しておかないと、あとになってから倒壊の原因究明ができず、場合によっては業者の責任追及ができたはずの建物について責任追及が出来なくなってしまいます。
 このために泣き寝入りした被害者が多数いらっしゃいます。

 できるかぎり損壊した建物を一定期間保存しておくことが肝要ですが、急いで解体・撤去せざるを得ない事情がある場合も、あると思います。
 ついては、解体・撤去前に、最低限、次のような記録化をしておきましょう。

 まずは、被災建物の図面、請負契約書、売買契約書、建築確認申請書などを探し、大切に保管しておきましょう。
 そして、被災建物の現状を写真やビデオで撮影したり、見取図を書き留めるなどして、後日、被災状況が再現できるよう工夫することが大切です。

 なお、罹災証明を取得するため、あるいは保険会社に提出するために、既に被災状況の写真を撮影された方もいらっしゃると思います。
 しかし、後日の原因究明のためには、全体的な被災状況の写真だけでは不十分です。
 建物の種類によって、原因究明のためのポイントは異なっているのです。

 なお、~損壊建物を解体撤去する前に~(後編)では、建物の種類ごとに重要なポイントを解説しましたので、専門的な内容ですが、関心のある方は併せてお読みいただければと思います。

2 アスベスト対策

 日本でアスベストが使用禁止となったのは平成18年のことですので、それ以前に建てられた建物にはアスベストが使われている可能性があります。
 アスベストは、吸い込んでから数十年後の健康被害を引き起こすといわれ、特に若い人や子どもをアスベスト被害から守る必要があります。
 東日本大震災でも、解体工事の際にアスベストが飛散して、大変な問題となりました。
 家屋・建物の解体・撤去工事にあたっては、しっかりとアスベスト対策を取っていただく必要があります。

 アスベスト対策については以下のサイトが参考になりそうです。

東日本大震災で壊れた建物のアスベストに注意しましょう。
http://plaza.umin.ac.jp/~FREAKIDS/shinsai.html

3 建築士にご相談を ポイントを外さず記録化するために

 建築に詳しくない方が、倒壊・損壊した建物をしっかり見て、重要なポイントを外さずに記録化するのは、容易なことではありません。
 できれば、これまで欠陥住宅の調査に携わってきた建築士が、これまでの経験を踏まえて、写真を撮り、図面に残すことが望ましいのです。
 欠陥住宅ふくおかネットには、欠陥住宅の調査に長年携わり、経験豊富な建築士が多数在籍しています。
 ご相談をご希望の方は、通常のご相談の手順に沿って、FAXにてご相談ください。

なお、「熊本地震による被災建物・緊急電話相談会」は終了しました。

※ 次回の被災建物の現地調査は未定です。
※ 応急的な記録化を目的とした目視による簡易なものです。
  実際に欠陥を指摘して損害賠償請求等の交渉等を行うためには、
  別途、有料の調査が必要になることがあります。

(なお、熊本震災に関する一般的な相談は、以下をご利用ください。
 熊本県弁護士会が実施している電話による相談・情報提供
 電話番号:0120-587-858(フリーダイヤル)
 午前10時~午後4時(土日については6月末まで)
 相談が殺到して電話が繋がりにくいことがあるそうです
 こちらの詳細は熊本県弁護士会ウェブサイト等でご確認ください。)

~損壊建物を解体撤去する前に~(後編)に続きます

【終了】熊本地震による被災建物・緊急電話相談会

【終了しました】

※ 熊本県内から合計23件のご相談のお電話をいただきました。

※ ご相談をご希望の方は、通常のご相談の手順に沿って、FAXにてご相談ください。

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欠陥住宅ふくおかネット主催

「熊本地震による被災建物・緊急電話相談会」

謹んで震災のお見舞いを申し上げます。
このたびの地震により被災された皆様に、心からお見舞い申し上げます。

今回の地震では、熊本県を中心とする広範囲の地域で、多数の家屋・建物が倒壊・損壊し、甚大な被害が発生しました。

欠陥住宅ふくおかネットは、欠陥住宅問題に取り組む有志の弁護士と建築士の団体です。
これまで、両専門家が協力しあい、戸建て・マンションを問わず、欠陥住宅の撲滅を目標に活動してきました。

そこで、今回、下記の要領で、
熊本地震によって所有建物・居住建物が被災した方
(熊本県内に限らず、どの地域の方でもご相談いただけます)
向けに、緊急無料電話相談会を開催いたします。

・ 日時:2016年4月23日(土)午前11時から午後4時まで
・ 受付電話:【受付終了】
・ 相談料:無料
・ 対象者:熊本地震によって所有建物・居住建物が被災した方

(熊本県内に限らず、どの地域の方でもご相談いただけます)

~損壊建物を解体撤去する前に~(前編)も併せてお読みください。

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【終了しました】

※ 熊本県内から合計23件のご相談のお電話をいただきました。

※ ご相談をご希望の方は、通常のご相談の手順に沿って、FAXにてご相談ください。

欠陥原因を特定するためにすべきこと

ヒビや雨漏り等の不具合を見つけると、不安になることがあります。
しかし、それは建物の欠陥によるものなのか単なる経年劣化等なのか、建物の欠陥によるものだとしてもそれがどのような内容の欠陥なのか、どのように考えるべきでしょうか。

1 ヒビがあれば、欠陥??(欠陥現象と欠陥原因)
例えば、住んでいるマンションにヒビが見つかったとしても、それが直ちに欠陥に当たるわけではありません。
また、ヒビを埋めてしまえば問題が解決する、というわけでもありません。
ヒビそれ自体は「欠陥現象」と呼ばれる表面的な不具合に過ぎず、それだけを見ても欠陥に当たるかどうか、どういう補修方法をとればいいのかを判断することはできないのです。
重要なのは、そうした欠陥現象を生じさせている根本的な原因である「欠陥原因」を突き止めることです。
「欠陥原因」が特定されて初めて、そのヒビが欠陥に当たるかどうか、どういう補修方法をとれば問題が解決できるのかが確定できるのです。
2 欠陥原因の特定方法
では、どのようにして「欠陥原因」を特定すればよいのでしょうか。
この点、建物の欠陥原因の特定には、建築に関する専門的な知識が必要です。
例えば、雑壁のヒビ割れ(「欠陥現象」)が見つかった場合、ヒビの入り具合(方向)や大きさ、発生時期などを総合的に見て、欠陥ではない通常の収縮クラックなのかどうか、どこに原因があるのかの見当をつけて、本格調査を行い、その結果、ようやく欠陥原因を突き止めることができるのです。
したがって、専門的な知識がない方の自己判断はお勧めできませんし、素人判断では重大な構造上の問題を見落とす危険があります。
気になる点があれば、まずは写真などを撮って証拠に残した上で、第三者の建築士(※当該建物の設計や監理に関わっていない建築士)に相談することをお勧めします。
また、建築士といっても、専門分野は様々ですので、欠陥住宅問題に詳しい建築士に頼むことが必須です。
3 マンションの欠陥原因を特定する際の留意点
(1) 管理組合として対応する
マンションの場合、例えば、自分の部屋の壁に現れたヒビ(欠陥現象)が、お隣さん等他の居室でも現れているのかどうかを確認することは困難です。
とはいえ、1棟の建物である以上、自分の部屋に現れた欠陥現象が、同じマンションの他の居室でも生じている可能性は否定できません。
したがって、そういった場合には、管理組合に働きかけて、管理組合で建物全体の欠陥現象に関する情報を集約した上で、建築士や弁護士といった外部の専門家に相談することが重要です。
特に、マンション特有の問題として、共用部分の管理は管理組合の決議に基づいて管理しなければならないという問題があります。そのため、区分所有者が単独で動いても限界がありますので、まずは管理組合に働きかけて、管理組合として対応してもらうことが必要になるのです。
(2) 外部の専門家に相談する
管理組合の中には、欠陥現象を発見した際、管理会社や分譲会社に苦情を言って調査を要求するといった対応をされるところもあるようですが、あまり詳細な調査をしてもらえず、欠陥原因の特定に至らないまま、表面的な欠陥現象だけを補修して終わり、というケースも多いようです。
そうした中途半端な解決にならないためにも、分譲会社や管理会社ではなく、外部の専門家に調査依頼することが重要と言えます。
4 まとめ
以上のように、ヒビや雨漏り等、欠陥現象を発見した場合には、1・写真を撮る等して証拠に残すこと、2・素人判断せずに第三者的な専門家に相談すること、3・マンションの場合は管理組合で対応すること、の3点が重要です。

なお、欠陥住宅ふくおかネットでは、ご相談をご希望の方に、ご相談内容に応じて、欠陥住宅問題に詳しい建築士や弁護士をご紹介しております。
また、ご依頼いただければ、欠陥原因を特定するための調査等も行います。
具体的なご相談の手順につきましては、当ホームページの「ご相談の手順」欄に記載しておりますので、お気軽にご相談下さい。
以上